テレコム社会科学賞 入賞
峰滝和典 様(富士通総研 主任研究員)
論文タイトル「情報技術革新と日本経済〜ニューエコノミーの幻を超えて」
この度は第21回電気通信普及財団賞・テレコム社会科学賞入賞という栄誉に拝し、光栄に存じます。西村清彦先生(現在日本銀行 政策委員会 審議委員)の日頃のご指導のおかげで受賞することができました。厚く御礼を申し上げます。共同研究者であった明治学院大学の白井誠人氏、東京大学ものづくりセンターの黒川太氏にも感謝しております。
今振り返ってみると、日本の情報技術革新に関して研究し始めた2000年は、ちょうど「IT革命」というブームの最中で、ITに対する期待と実態が大きく乖離していたと思います。その後、「ITバブル」の崩壊が起こり、逆に情報技術革新に対する悲観論が支配的になった時期もありました。こうした喧騒の中、一時の印象論に惑わされずに地道に研究を続けたことが今回の受賞に結びついたと思います。
近年、ブログやSNSなどいわゆるweb2.0の技術が急速に広まっています。日本の情報技術革新が新しい段階に入ったという見解も聞かれます。web2.0が日本経済にどのような影響を与えるのかについては、今後、冷静に実証分析を行っていきたいと思います。今回のテレコム社会科学賞入賞を研究の一里塚として、さらに研鑽していく所存です。
テレコム社会科学賞 奨励賞
須田祐子 様(東京外国語大学 非常勤講師)
論文タイトル「通信グローバル化の政治学―「外圧」と日本の電気通信政策―」
博士論文とそのフォローアップ研究をまとめたものを出版しました。科学研究費(研究成果公開促進費)を得て(これがまた大変でした)ようやく本を出すことができたのです。そのカタい本がこのたびテレコム社会科学賞奨励賞を頂戴しました。10年間の研究の成果を評価していただいたわけで、実に有り難いことですが、受賞して一番よかったのは周りの人たちに喜んでもらえたことです。「賞金がもらえていいなあ」「履歴書に書くことが増えましたね」「今度、お寿司でも食べにいきましょう」とリアクションはさまざま。でも、みなさん「よかったですね」と言ってくれました。「自分のことのように嬉しい」と言ってくれた人もいました。また研究や出版のことでお世話になった方々にも良いご報告をすることができました。今回の受賞を文字通り励みとして、これからも情報通信政策とガバナンスの研究を続けていきたいと思います。
テレコム社会科学賞 奨励賞
宗田貴行 様(奈良産業大学 法学部 助教授)
論文タイトル「迷惑メール規制法概説」
この度は、第21回電気通信普及財団賞・テレコム社会科学賞奨励賞を頂き、大変光栄に存じ上げます。
どの分野でも多くの偉大な先人たちがおられ、その方々の偉大な業績があると思います。私の執筆させて頂いた消費者保護法の分野でも、訪問販売や電話勧誘などについて、多くの偉大な業績が存在しております。そのため、私など若輩者にはできることなどあるのだろうかと無力感が漂ってしまうことが多いのです。
しかし、電気通信の普及という近年の状況が、我々若者にとっては大いなる助力となるのです。同じく消費者保護法といっても、近年の電子メールの普及に伴い生じた「迷惑メール問題」に対する法規制は、まだ必ずしも十分に先人たちの手が及んでいないものだったのです。研究を進めるうちに、迷惑メールの受け手のプライバシー権というものが重要であり、それをご研究なさっておられる堀部政男先生の御著書や先生が座長を務められた総務省の研究会報告書などに接し、先生の偉大さを痛感いたしました。もっとも、その総務省の研究会の後、EUやアメリカでの迷惑メールの法規制の新たな展開があり、また、我が国でも迷惑メールの手段の巧妙化や被害の拡大などがあり、それらを踏まえて今後の我が国の法規制のあり方を検討する必要があると考え、本作品『迷惑メール規制法概説』レクシスネクシス・ジャパン2006年を執筆させて頂こうと思い立ちました。そして、このテレコム社会科学賞は、その堀部先生ご自身が審査をなさるということを知り、応募させて頂いた次第でございます。そんなわけで、今回の受賞について、これ以上の喜びはございません。大変光栄であります。審査してくださいました諸先生方に心より御礼申し上げます。
最後になりましたが、電気通信普及財団の今後のますますのご発展を祈念申し上げます。
テレコム社会科学学生賞 入賞
澁谷直幸 様
論文タイトル「音楽配信に関する消費者行動分析−コンジョイント分析によるWTP調査を通して−」
この度、「第21回電気通信普及財団テレコム社会科学学生賞」を頂き、誠に光栄に存じます。入賞論文は田中辰雄研究会の6人のメンバーで取り組んだものであり、苦労と喜びを分かち合える仲間との入賞を大変嬉しく思っております。
本論文は、パソコン向け音楽配信の普及が進んでいないことに疑問を持ち、なぜ普及していないのか、どのようにすれば普及するのか、を考えました。執筆中にアップルコンピュータ社のiTunes Music Storeが日本でのサービスを開始し、パソコン向け音楽配信がまさに変わろうとしているタイミングで執筆できたことを幸運に思います。また、これからの音楽配信が、より消費者の新たな需要を喚起するサービスとなることを願っております。
変化の早い情報通信産業を対象とした研究は未開拓のテーマが多く、学生にも未開拓への挑戦の機会が多く与えられているように思います。貴賞がそのような挑戦を志す学生の励みとなり、さらに優れた論文が執筆されることを期待しております。
執筆にあたって、田中辰雄助教授、研究会のメンバー、アンケートにご協力いただいた方々など、たくさんのお力添えを頂きました。ここに重ねて御礼申し上げます。
テレコム社会科学学生賞 佳作
小川素良 様
論文タイトル「携帯電話会社選択の決定要因に関する地域別比較研究」
この度は、第21回テレコム社会科学学生賞佳作を頂くことができ大変光栄に思っております。受賞のお知らせを受けた時には、共同で執筆しましたゼミ生7人といつもサポートしてくださった先生の方々と喜びあうと共に、著名な賞を頂くことができたのを大変名誉な事と感じました。
受賞致しました論文は携帯電話会社を選択する際の決定要因がどのように都市と地方とで異なるか比較研究したものです。研究を行うにあたっては地域別の要因を分析するために行ったヒアリング、アンケート、及びその分析にも苦労致しましたが、それ以上にゼミ生7人での共同研究でしたのでどれだけ全員の力を研究に活かすことができるかという点に尽力致しました。
論文を執筆中には特にお世話になりました私たちの指導教官であります愛媛大学法文学部、岡本隆助教授を始めとして、研究に協力してくださった携帯電話事業者の方々並びに愛媛、松山、立命館大学学生のみなさんには特に感謝したいと思います。末筆ながら研究をいつもサポートして頂いた立命館大学経済学部、松本朗教授には深く感謝致します。
テレコムシステム技術賞 入賞
小池俊昭 様(京都大学・特別研究員)
論文タイトル「Prototype Implementation of Real-time ML Detectors for Spatial Multiplexing Transmission」
私にとって研究とは,宝探しをすることに似ている。
宝はそう簡単には見つからない。
出来ることからまず地道にこつこつと掘り下げていくと,偶然原石を見いだしちょっとした発見に感動する瞬間が訪れる。
近年,複数アンテナを用いた高速伝送方式に関する優れた信号処理方式が数多く生み出されている。
しかし,所要演算精度や実装面などを吟味せずに乗算回数などで信号処理の複雑さを安易に評価している研究が多いことに疑問を感じた。
本論文では実際に実装試作までを行った上でギガビット級の高速最尤受信機が実現可能であるか否かを解明することが狙いであった。
今回低演算量化に導入した演算法は従来方式の近似式もしくは等価式を用いているに過ぎず革新的な方式というわけではない。
無論どのような方式にも一長一短があり,本提案方式にも未解決の課題が無数に潜んでいる。
困難な問題も,ちょっとした脳のひらめきなどによってより簡単な問題に変化させることが出来る。
私はそこに純粋な科学・技術の面白さを感じ,無邪気に宝探しの旅を続けていく次第である。
テレコムシステム技術賞 入賞
渡部晋治 様(日本電信電話(株)NTTコミュニケーション科学基礎研究所)
論文タイトル A.「Variational Bayesian Estimation and Clustering for Speech recognition」
論文タイトル B.「Automatic Determination of Acoustic Model Topology using Variational Bayesian Estimation and Clustering for Large Vocabulary Continuous Speech Recognition」
この度はテレコムシステム技術賞をいただき大変光栄に思います.応募論文中で提案したVBEC(Variational Bayesian Estimation and Clustering for speech recognition)はベイズ法にもとづく音声認識であり,最尤法にもとづく従来型音声認識とは異なり,モデル化に際し導入される全てのモデル変数を確率的に揺らぐ確率変数として扱うことにより,実環境の揺らぎを緩和することが可能となります.VBECはパターン認識の最前線理論である変分ベイズ法を用いており,ベイズ法の音声認識への本格的適用を世界に先駆けて実現した技術といえます.論文中ではVBECの効果を通常の音声認識実験において示しておりますが,その適用範囲はモデル適応などの幅広い音声情報処理分野にわたる可能性があるため,今後も更なる発展を続けていければと思っております.最後に,本研究を成し遂げるにあたり,共著者のみならず社内・社外の様々な方々に適切なご指導・ご鞭撻頂きました.この場を借りて厚く御礼申し上げます.
テレコムシステム技術学生賞 入賞
鎌本 優 様
論文タイトル「チャネル間相関を用いた多チャネル信号の可逆圧縮符号化」
この度は、第21回テレコムシステム技術学生賞を頂き大変光栄に思います。
選んで下さった方々に深く感謝いたします。
また、本研究を遂行すすにあたり御指導いただいた、守谷健弘氏(NTT R&Dフェロー,論文執筆時は東大客員教授兼任)、嵯峨山茂樹氏(東大教授)および嵯峨山研究室の皆様にも深く感謝いたします。
応募論文は、多チャネル信号の可逆圧縮符号化において、チャネル間相関を利用することで圧縮率を向上させる手法を提案したものです。
元々、オーディオ・音楽や生体信号処理に興味があり、卒論では神経の活動電位を計測・解析していました。
ところが計測データはメールなどのネットワーク経由でやり取りできないほど大きかったので、これが可逆で圧縮できれば便利になると思い、サラウンド音響信号やMEGなどの信号を対象に研究を行いました。
提案手法の性能向上をさらに続けた結果、私たちの提案技術は、現在MPEG-4 Audio Lossless Coding (ALS) として国際標準化されている時系列信号の可逆圧縮符号化技術の一部に組み込まれています。
国際標準化に関われるような企業との共同研究は、学生にとってモチベーションの向上にもつながると思います。
この受賞を励みとして、日本の電気通信技術を世界に普及させるために頑張りたいと思います。
テレコムシステム技術学生賞 入賞
安川健太 様
論文タイトル「Dynamic Class Assignment for Stream Flows Considering Characteristics of Non-stream Flow Classes」
第21回テレコムシステム技術学生賞を受賞致しましたこと,大変光栄に思っております.この度の受賞に至ることができましたのは,日頃から手厚くご指導をしてくださっている東京工業大学大学の山岡克式助教授,大阪大学の馬場健一助教授を始め,所属する研究室のスタッフ,学生の皆様,その他関係諸氏の支えの賜と存じます.この場を借りて厚く御礼申し上げます.
応募論文では,今日普及が進んでいる音声・動画像等のネットワークを通じたストリーム伝送サービスが,益々広く普及する将来を見据え,ストリーム伝送サービスの通信トラヒックと,従来から用いられているWebやE-mail等のデータ転送の通信トラヒックとが,ネットワーク上の通信資源を共有する場合に生じる,双方の相互影響による品質劣化の問題に着目し,同問題を解決するための技術を提案,その有効性を示しました.
本研究の成果が実用化され,世の中の通信品質の向上に寄与するためには,さらなる検討はもちろん,方式の実装や標準化活動等も必要となりますが,今回の受賞を糧に,今後も努力を続けていく所存です.この度は誠にありがとうございました.末筆ながら,貴会の電気通信技術のさらなる向上へのご貢献と,益々のご発展を祈念申し上げます.