第25回「電気通信普及財団賞」贈呈式の模様
・受賞者の声

HOME > 電気通信普及財団賞 > 贈呈式の模様・受賞者の声 >

第25回「電気通信普及財団賞」贈呈式の模様

贈呈式の写真を見る

2010年3月15日(月)11:00より
メルパルク東京(郵便貯金会館)にて

  1. 理事長あいさつ
  2. 選考経過報告
  3. 表彰状贈呈
  4. 受賞者代表挨拶

●テレコムシステム技術賞 入賞
安達文幸 様

論文タイトル「Frequency-Domain Equalization for Broadband Single-Carrier Multiple Access」

この度は「第25回テレコムシステム技術賞」を頂き大変光栄に存じます。

無線通信の超高速化が望まれていますが、このようなチャネルは厳しい周波数選択性になり、強力な等化技術が必要です。これまで私たちは、マルチキャリア伝送に比べてピーク対平均電力比が小さいシングルキャリア伝送を対象に1タップ周波数領域等化(FDE)技術の研究を行ってきました。シングルキャリアFDEはチャネルの周波数選択性を利用して大きな周波数ダイバーシチ利得を得ることができ、周波数分割多重アクセス(FDMA)や符号分割多重アクセスと組み合わせることができる大変優れた無線技術です。受賞論文は、受信アンテナダイバーシチ合成と1タップFDEを同時に行う原理や、シングルキャリア信号を離散フーリエ変換により直交周波数成分に分解してより広い帯域にマッピングするシングルキャリアFDMAの原理を述べたものです。

これまでの私たちのシングルキャリアFDEに関する研究が、今後の超高速無線システムの構築に役立つと共に、さらに新しい考えに基づく無線技術を生むための知見を与えるであろうことを願っています。末筆ながら、電気通信普及財団の益々のご発展とご繁栄を心より折念申し上げます。


●テレコムシステム技術賞 入賞
森島繁生 様

論文タイトル「"Dive into the Movie" Audience-driven Immersive Experience in the Story」

この度は「第24回電気通信普及財団賞・テレコムシステム技術賞」という名誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。今回、受賞対象となりました技術は、観客全員が自動的にCGモデル化され、映画にキャストとして登場することができる技術です。

この新しいエンタテインメントの最初の提案を2005年の愛・地球博で具現化しました。163万人の観客がこれを体験し、全員に大きな感動をもたらしました。その後ハウステンボスに導入され、人気のイベントとして商業的にも大成功しています。

この最初のシステムでは、顔のみに個性を反映していましたが、個性を表現する要素対象を顔形状、顔表情、声、歩容、体型、頭髪、皮膚の質感に広げた計測技術と映像表現技術を開発しました。これにより、ストーリーへの没入感覚を大幅に向上させ、より感動を高める映像エンタテインメントが実現されました。2009年3月に日本科学未来館で新しい技術の映像作品が上映され高い評価を受けました。

最後に、このプロジェクトを共同推進している大阪大学の八木康史教授、NICTの中村哲氏を始め、コンテンツ制作、技術開発にかかわったすべての方々に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

最後になりますが、電気通信普及財団の益々のご発展とご繁栄を心より折念申し上げます。


●テレコム社会科学学生賞 入賞
谷内 誠 様

論文タイトル「ウェブ上の編集と表現の自由―ニュースサイトを事例として―」

この度、「第25回テレコム社会科学学生賞」の栄誉を頂き大変光栄に存じます。
これまで論文を書いたことがなく、大学で学んでいる法律学を基に興味があったウェブ上での現象を分析した私の論文がまさか入賞するとは思っていませんでした。論文執筆にあたりお力添えをいただいた皆様、論文を評価していただいた審査委員や財団の皆様に心より御礼申し上げます。

本論文は、憲法学や法律学が想定している情報の作成・流通過程あるいは情報の形態が現実の状況に対応できていない側面があるのではないかという問題意識のもと、ニュースサイトを題材に、ウェブ上に存在する断片化された情報(素材)が編集されるという営為を表現の自由や著作権といった法的観点から分析したものです。論文では執筆当時、断片化が最も顕著であったニュースサイトを事例として取り上げましたが、最近ではtwitterというサービスが登場し、ブログなどの既存のウェブサービスでは流通する情報となることがあまりなかった私生活の断片までもが、デジタル情報となり全世界に向けて公開されるようになってしまいました。刻一刻と変化する状況から取り残されないように精進していく所存です。

近年、情報通信技術が社会に浸透したことで解決しなければならない多くの問題が生じており、情報通信技術を理系的視点からだけでなく、社会科学の観点からも分析することがより一層重要になってきています。変化の速い情報通信技術を社会科学の観点から捉えることは容易ではありませんが、今後より多くの研究がなされることを期待しています。そして、テレコム社会科学学生賞が今後もそのような研究に取り組む学生の目標であり続け、さらに発展していくことを願ってやみません。


●テレコムシステム技術学生賞 入賞
東藤大樹 様

論文タイトル「架空名義操作不可能な組合せオークションの割当規則の特性」ほか

この度、貴財団より第25回電気通信普及財団賞テレコム技術学生賞を頂きましたこと、大変光栄に感じております。
選出して頂いた審査員の皆様方及び貴財団関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
また、本論文の執筆にあたり多くのご助力・ご助言を頂きました横尾真先生、岩崎敦先生、櫻井祐子氏に、この場を借りて御礼申し上げます。

組合せオークションは、アメリカ連邦通信委員会の無線周波数帯域オークションやGoogle のキーワード広告オークション等で注目を集めており、今後インターネットオークションにおいて広く用いられることが予想されます。
本論文では、ネットワークの匿名性を利用した架空名義入札と呼ばれる不正行為を問題視し、組合せオークションが架空名義入札の影響を受けないための条件を示しました。本成果は、ネットワーク特有の不正行為の影響を受けない経済・社会制度の設計のための重要な知見であると考えております。

今回の受賞を励みに、今後も安全・安心なネットワーク上の制度設計の理論の発展に貢献する研究を遂行したいと考えております。
最後になりましたが、貴財団の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。


○テレコム社会科学賞 奨励賞
石井夏生利 様

論文タイトル「個人情報保護法の理念と現代的課題―プライバシー権の歴史と国際的視点―」

このたびは、第25回テレコム社会科学賞奨励賞の受賞の栄誉に与りまして、誠にありがとうございます。財団関係者の皆様、審査委員の先生方に御礼申し上げます。

『個人情報保護法の理念と現代的課題』は、2007年度に中央大学から学位の付与を受けた博士論文に、その後の状況を踏まえて加筆修正を施したものです。本書の執筆にあたっては、博士課程在学中から多大なるご指導を賜りました堀部政男先生(現 一橋大学名誉教授)に心より感謝申し上げます。

個人情報保護法は、社会的にも非常に大きな影響を与えた法律ですが、国内ではうまく運用されているとはいいがたい面が指摘されており、他方で、国外に目を向けると、日本の法律は先進国のレベルから大きく遅れている側面があります。また、個人情報と深い関係のあるプライバシーないしはプライバシー権との関係も必ずしも明らかではない状況にあります。こうした様々な問題点の解決に資するために、プライバシー権の歴史的発展から個人情報保護法の現代的課題を総合的に捉えようと試みたのが、執筆の目的でした。

個人情報保護法にはまだまだ課題が山積していますが、この法律のあり方は引き続き検討を続けていくとともに、通信の秘密その他の電気通信にまつわる法律問題、ひいては情報法の体系にも検討を拡大して研鑽を積んで参りたいと考えております。

このたびの受賞を励みとし、今後とも自らの研究において微力を尽くす所存です。誠にありがとうございました。


○テレコム社会科学賞 奨励賞
井手口 彰典 様

論文タイトル「ネットワーク・ミュージッキング : 『参照の時代』の音楽文化」

この度は、第25回「テレコム社会科学賞」奨励賞を頂き、大変光栄に存じます。審査委員の先生方ならびに事務局の皆様に心よりお礼申し上げます。

今回表彰して頂きました拙著は、2006年度末に私が大阪大学に提出した博士論文のリライトであり、現代における「録音された音楽」の聴取体験がどのように変化したか(あるいはするのか)を論じたものです。拙著の上梓に際しましては、博士課程で論文を指導して下さった根岸一美・伊東信宏両先生、拙著を含む双書シリーズの監修者である東谷護先生、出版助成をして下さった鹿児島国際大学の皆様他、多くの方のお力添えを賜りました。この場をお借りし、改めて感謝の意を表させて頂きます。

現代的な音楽文化を主題とする拙著が同賞の栄誉にあずかれましたのは、音楽を通じて読み取れる時代・意識の変容が、より広汎な社会現象にも演繹しうる問題点を含んでいたからではないか、と考えています。今後も、自身の専門である音楽領域を軸としつつ、しかし同時に、広く現代社会を見据えた研究を深化させるべく、研鑽を積んで参りたいと存じます。

最後になりましたが、貴財団の今後益々のご発展をお祈りいたします。


●テレコム社会科学学生賞 入賞
須藤健一 様

論文タイトル「ネットワーク系電子出版物の収集を通じての納入率向上に関する一考察 ―国立国会図書館における政府刊行物・民間出版物の納入率向上に向けた政策提言―」

この度このような大変名誉ある賞を頂き、本当に嬉しく光栄に思います。

本論文は、国立国会図書館の「納本漏れ」の問題に着目し、「納本図書館としての機能に支障が生じないようにすること」という国立国会図書館の使命を達成すべく、出版物の納入率を向上させるための今後の制度設計について検討したものです。国立国会図書館は、出版物納入率の向上に向けて、広報強化や関係機関との協力連携を推進しつつ、電子情報による納本の許可(納本方法の拡大)等の方法を検討し、電子情報化時代に応じた複合的・重層的な納本制度改革を実施すべきであり、特に、(1)納本制度の目的が国の出版物の網羅的な収集・保存にあること、(2)立法補佐業務や国民への図書館サービスの向上のため、ネットワーク系電子出版物の収集によって実質的納入率を確保する必要があること、(3)ネットワーク系電子出版物の収集と電子図書館化によって所蔵スペースを大幅に節約できること等の理由から、今後は、ネットワーク系電子出版物に関しても、納本制度による収集を検討すべきと考えます。

最後に、今までお世話になった全ての方々に感謝を申し上げます。


○テレコム社会科学学生賞 佳作
楠田佳緒 様

論文タイトル「地域医療連携における通信ネットワークの活用に関する研究」

この度、テレコム社会科学学生賞という名誉ある賞を頂き、大変光栄に存じます。
本論文で注目した地域医療は崩壊の域にあります。そこで地域医療連携を進めるための、通信ネットワークを用いた情報共有の必要性について研究しました。

現在は診療を行った施設ごとに患者カルテが作られ、医療情報は他の施設と共有されず断片的です。そのため病院から他施設への紹介する際の情報提供の非効率性が問題になります。荘内病院では、山形県鶴岡地区を中心に「Net 4U」を用いてオンラインで患者情報を共有しています。その結果、効率的な患者の紹介業務と相互の検査・治療情報の理解が可能になり、患者を地域で診る地域完結型の医療が行われることを述べました。このことで不必要な検査などを排除でき、患者自身にとっても効果の高い医療が提供できます。
これらのことから、オンラインの通信ネットワークを用いた地域医療連携が有効であることを示し、今後の医療資源の有効活用を促進するために、必要であると考えました。

本研究を進めるにあたり、多くのご指導を頂きました東京医療保健大学の山下和彦准教授、研究にご協力頂いた山形県鶴岡市立荘内病院の松原要一院長(現、新潟労災病院院長)を始め、関係者の皆様に深く感謝を申し上げます。
本論文の受賞を励みに、今後とも医療分野の情報技術の活用にむけて、より一層研究を進めていく所存です。最後になりましたが、貴財団の今後のますますのご発展を祈念申し上げます。


●テレコムシステム技術学生賞 入賞
阿部友実 様

論文タイトル「Noise reduction combining time-domain _-filter and time-frequency _-filter」ほか

この度は、「第25回テレコムシステム技術学生賞」を頂き、大変光栄に存じます。
また、選出して頂いた審査員の先生方や貴財団関係者の皆さまに深く感謝するとともに、本論文の執筆にあたりご指導頂きました橋本周司先生ならびに松本光春先生、研究遂行にあたり助力いただいた研究室の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

音声認識システムは家庭用電気機器や小型ロボットなど幅広い応用が期待される技術ですが、雑音が混在した状況では認識性能が劣化します。従来の雑音除去技術においてはマイクロホンを複数用いるマルチチャネルによる雑音除去技術が主流ですが、システムの汎用性や小型化を考えたときにはシングルチャネルによる雑音除去技術がより有利であると考えられます。本論文では、音声の雑音抑制手法として、シングルチャネルで大振幅かつ非定常な雑音の抑制が可能な手法を提案いたしました。

今回の受賞を励みとし、今後はより幅広い雑音に対応できる雑音除去技術について
研究を続けていきたいと考えております。また、現実世界に役立つ音楽・音響システムの開発に努めていければと思います。末筆ながら、貴財団の益々のご繁栄を心よりお祈り申し上げます。


●テレコムシステム技術学生賞 入賞
清水崇之 様

論文タイトル「エスパアンテナを用いた秘密鍵共有方式における盗聴耐性の高い鍵生成法」ほか

この度は「第25回電気通信普及財団賞テレコムシステム技術学生賞」を賜りましたこと大変光栄に存じます。審査して頂いた諸先生方には厚く御礼申し上げます。また、論文の執筆にあたりご指導いただいた笹岡秀一先生、岩井誠人先生、ならびにご助力頂いた研究室の皆様に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

今後の無線通信及び計算機の益々の発展に伴い、情報漏えいの危険性も増すため、無線通信におけるセキュリティの確保は急務の課題であります。より頑健にセキュリティを確保する方法が求められている中、近年、電波伝搬特性の不規則変動を秘密鍵共有に利用する研究が行われています。今回の受賞対象となりました論文では、可変指向性アンテナであるエスパアンテナと電波伝搬路特性を利用した秘密鍵共有方式において、より盗聴耐性の高い鍵生成法及びより効率的な鍵不一致解消法を提案しました。本論文の成果が、今後の無線通信における情報セキュリティに貢献できれば幸いです。また、今回の受賞を励みとして今後さらに研究活動に邁進していきたいと思います。

最後になりましたが、電気通信普及財団の益々のご発展とご繁栄を心より折念申し上げます。


○テレコムシステム技術学生賞 佳作
牧本宜大 様

論文タイトル「Waveguide-type Optical Circuit for Recognition of Optical QPSK Coded Labels in Photonic Router」ほか

「第25回テレコムシステム技術学生賞」を賜り、誠に光栄に存じます。選出して頂いた審査委員会の皆様、貴財団の関係者の皆様に深く感謝します。また、本論文の執筆にあたり多大なるご指導ご鞭撻を頂きました徳島大学大学院の後藤信夫教授、柳谷伸一郎助教にこの場を借りて厚く御礼申し上げます。

本論文では、フォトニックネットワークを実現するために必要なフォトニックラベルルータでのラベル処理を行う光デバイスを新規に提案いたしました。その中でも難解なQPSK光符号ラベル処理用光デバイスを模索し、研究を行ってきました。そして、提案した光デバイスが理論通り光符号ラベルの処理が可能であることをコンピュータシミュレーションで明らかにしました。受賞論文で得られた成果が役立つものと思っております。

本研究の成果が実用化され、フォトニックネットワークの実現に貢献するために本研究のさらなる検討が必要となります。そこで、今回の受賞を励みに、今後も努力を続けていく所存です。末筆ながら、電気通信普及財団の益々のご発展とご繁栄を心より折念申し上げます。

受賞論文一覧