テレコムシステム技術学生賞

表彰者コメント

※受賞者の所属は当論文賞受賞時のものです。

青木 俊介 氏(東京大学 情報理工学系研究科 電子情報学専攻 博士課程1年)

テレコムシステム技術学生賞 入賞「Negative Surveys with Randomized Response Techniques for Privacy-Aware Participatory Sensing」

■受賞者コメント

青木 俊介

この度は「第30回電気通信普及財団賞テレコムシステム技術賞」という名誉ある賞を戴き、大変光栄でございます。電気通信普及財団の皆様、審査委員の先生方、ならびに本研究の遂行にあたりご指導して下さった瀬崎薫先生(東京大学教授)、東京大学 空間情報科学研究センター 瀬崎研究室の皆様に心より感謝いたします。

受賞論文では、参加型センシングで取得するセンサデータのプライバシー情報保護を可能にする手法を提案しています。参加型センシングでは、一般のユーザが持ち歩く携帯機器をセンサとして用いることによって、空間的・時間的に広範囲・細粒度のセンサデータを取得することが可能です。このセンサデータには、携帯機器の所有者であるユーザのプライバシー情報が常に含まれるため、プライバシー情報を適切に処理することが非常に重要です。本論文では、簡易な計算に基づくデータ摂動化技術であるNegative Surveys 及び Randomized Response を組み合わせることによって、多次元かつ連続値であるデータに対する摂動化技術を開発し、参加型センシングのプライバシー情報保護を達成しています。

今回の受賞の報せを受け取ったのは海外研究機関に滞在中だったのですが、研究活動を続けるにあたり非常に大きな励みとなりました。今後も研究者として、情報通信分野の発展に貢献ができるよう一層精進していく所存です。最後になりましたが、貴財団の益々の御発展と御繁栄を心より祈念いたします。

日野 貴哉 氏(西日本鉄道株式会社 経営企画本部 IT推進部 係員)

テレコムシステム技術学生賞 入賞「帯域外漏洩電力制約下でのOFDM信号のピーク振幅抑圧に関する検討」

■受賞者コメント

日野 貴哉

この度は、電気通信普及財団設立30周年という節目の年に「第30回テレコムシステム技術学生賞」という栄えある賞を頂きまして、大変光栄でございます。審査頂いた先生方、電気通信普及財団の関係者の皆さまに厚く御礼申し上げます。また、本論文を執筆するにあたり、多大なるご指導を賜りました九州大学の牟田修先生、古川浩先生に深く感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

受賞論文は、OFDM(直交周波数分割多重方式)信号のピーク対平均電力比を低減させる技術に関するものです。提案方式は、ピーク電力低減により生じる帯域外漏洩電力および帯域内ひずみ電力量を推定し、それらをシステムで定義される上限値以下となるように制御することが特長であり、従来手法に比べて優れた方式であることを示しました。

今回の受賞を励みに、より一層精進していく所存です。最後になりますが、電気通信普及財団の益々のご発展とご繁栄をお祈り申し上げます。

石川 直樹 氏(東京農工大学大学院 工学府情報工学専攻 博士前期課程1年)

テレコムシステム技術学生賞 佳作「Unified Differential Spatial Modulation」

■受賞者コメント

石川 直樹

この度は、テレコムシステム技術学生賞(佳作)を賜わり大変光栄に存じます。電気通信普及財団の皆様と、審査してくださった先生方に深く御礼申し上げます。また、財団設立30周年記念式典とともに実施された平成26年度贈呈式では、著名な方々からも祝福していただき、身に余る光栄です。

本研究は、複数本のアンテナを使った無線通信の信頼性向上を目的としています。無線通信システムの簡易化に貢献可能な手法として「空間変調」が注目を集めていますが、受信機におけるチャネル推定が課題となっています。そこで本研究では、チャネル推定が不要の空間変調方式を提案いたしました。具体的には、MIMO時空間ブロック符号を各列に非ゼロ成分がただ一つだけある疎なユニタリ行列によって構成し、「差動符号化」という演算を実現いたしました。構成する行列は一般的に「置換行列」と呼ばれます。この行列の疎な構造を活かして任意個のPSKシンボルを埋め込み可能にし、多重化利得とダイバーシティ利得のトレードオフを調整可能といたしました。

この受賞を励みに、今後とも研究に打ち込み続けます。日本人研究者として、分野・国籍を問わずに多様な頭脳と切磋琢磨しながら、情報通信技術の発展に尽くしていきたいです。最後になりましたが、電気通信普及財団の更なるご発展を心よりお祈り申し上げます。ありがとうございました。

高道 慎之介 氏(奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 博士後期課程2年)

テレコムシステム技術学生賞 佳作「Parameter generation methods with rich context models for high-quality and flexible text-to-speech synthesis」

■受賞者コメント

高道 慎之介

この度は栄えある賞を賜りまして、身に余る光栄でございます。電気通信普及財 団の皆様、審査頂いた先生方に深く御礼申し上げます。

任意のテキストから音声を合成する手法として隠れマルコフモデル(HMM)に よる音声合成法が多数研究されていますが、高い声質制御能力がある反面、音質に劣化を生ずる問題がありました。本論文では分散共有フルコンテキストモデルを用いた音声パラメータの生成手法を適用し、HMMの有する柔軟な声質制御能力を保持しつつ音質の改善が可能な音声合成法を提案しました。この手法は、増加しているテキスト―音声変換サービスに貢献する手法です。

今後も、自身を楽しませることを忘れずに、実世界を上書きするための技術を発明していきます。