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表彰実績

電気通信普及財団賞テレコムシステム技術賞

第29回(2013年度※受賞者の所属は当論文賞受賞時のものです。

入賞
「Optimized Speech Dereverberation From Probabilistic Perspective
for Time Varying Acoustic Transfer Function」

(論文発表:IEEE Transactions on Audio, Speech,and Language Processing, Vol.21,No.7, 2013年7月)

戸上 真人
(株)日立製作所中央研究所 情報システム研究センタ 知能システム研究部 主任研究員
川口 洋平  同 研究員
武田 龍   同 研究員
大淵 康成  同 主任研究員
額賀 信尾  同 主任研究員

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■ 審査員コメント ■
遠隔会議などで問題となる、残響を抑圧する手法として非線形フィルタを用いる抑圧法は、伝達関数が時間的に変動する場合であってもロバストに残響成分を抑圧可能であるが、その代償として所望の音声が歪んでしまい、かえって聞きとりにくい音声になってしまう、という課題があった。本論文では、伝達関数が定常ガウス分布に従い時間変動するという前提に基づき所望の音声の歪みを極力小さく抑えつつ、伝達関数の時間変動に対してロバストに残響成分を抑圧可能な残響除去方式を提案し、それを実際に実装し、その有効性を確認している。本手法は今後益々利用される遠隔授業、遠隔診療、遠隔介護などにも役立つことが期待され、テレコム技術賞にふさわしい論文と評価される。

入賞
「電話網の発信者番号通知を利用した本人認証方式」

(論文発表:情報処理学会論文誌 Vol.54,No.2,2013年2月)

藤井 治彦  NTTセキュアプラットフォーム研究所 研究員
鶴岡 行雄  NTTソフトウェアイノベーションセンター 主任研究員
多田 好克  電気通信大学 大学院情報システム学研究科 教授

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■ 審査員コメント ■
本論文は、インターネット上での本人認証時に利用者が電話して発信者番号を通知する二路認証技術を開発し、高い経済性、利便性に加えてフィッシング攻撃、中間者攻撃、転送による成りすましに対する防御が可能であることを確認している。電話端末を認証に使うアイデアを細かい手順まで踏み込んで検討し、その安全性について明らかにし実用化しており、優れた論文と評価できる。

入賞
「Multikernel Adaptive Filtering」

(論文発表:IEEE Transactions on Signal Processing, Vol.60,No.9,2012年9月)

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湯川 正裕
新潟大学 工学部 電気電子工学科 准教授

■ 審査員コメント ■
本論文は、非線形関数の適応推定問題に対する新しい学習パラダイムを提案している。非線形モデルによる適応信号処理は音響、通信、画像、医療、自然科学などの領域で有効性が期待されているが、従来の再生核を用いたカーネル適応フィルタは大域的最適性、低演算量、というメリットがあるが、その性能が再生核に強く依存するため、実応用が限られる問題があった。
本論文では、再生核設計と関数推定の両プロセスを同時に適応的に行うことで再生核の依存問題を解決する具体的な手法を提案し、数値実験により非線形通信路の適応等化問題と3種類の時系列データの予測問題に対して本手法の有効性と利点を明らかにしており、その新規性と広範囲な応用の可能性から、テレコムシステム技術賞に値する成果であると評価される。

奨励賞
「UMSM: A Traffic Reduction Method on Multi-View Video Streaming
for Multiple Users」

(論文発表:IEEE Transactions on Multimedia,Vol.16,No.1,2014年1月)

藤橋 卓也  大阪大学 大学院 情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 博士後期課程 1年
潘  子圓  静岡大学 創造科学技術大学院 情報科学専攻 博士後期課程 3年
渡辺  尚  大阪大学 大学院 情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 教授

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■ 審査員コメント ■
本論文では、複数のビデオカメラで対象を撮影することにより、様々な角度からの映像を視聴できるマルチビュービデオ方式において、複数ユーザが同時に視聴する場合のトラヒック削減方式を提案している。ユーザからのフィードバックを用いフレームを分類して、複数ユーザが必要とする共通フレームをマルチキャスト、単一ユーザが必要とするフレームをユニキャスト伝送することにより、大幅なトラヒック減を実現しており、高く評価できる。

奨励賞
「Novel Scalable MIMO Channel Sounding Technique and
Measurement Accuracy Evaluation With Transceiver Impairments」

(論文発表:IEEE Transactions on Instrumentation and Measurement, Vol.61, No.12, 2012年12月)

金 ミンソク  東京工業大学 大学院 理工学研究科 国際開発工学専攻 助教
高田  潤一  東京工業大学 大学院 理工学研究科 国際開発工学専攻 教授
小西  洋平  東京工業大学 大学院 理工学研究科 国際開発工学専攻 博士後期課程 2年

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■ 審査員コメント ■
MIMO伝送に基づく無線通信システムの設計・開発では、複数のアンテナ間のリンク毎の伝搬路特性の把握が要求される。本論文では、その課題に答えるべく「MIMOチャネルリンク測定」と「双方向角度チャネル測定」を高精度に実現可能なMIMOチャネルサラウンディング手法を提案している。スケーラブルな構造、部品選定、校正精度の基準などハードウエア実装に向けた設計のガイドラインを明らかにしており、その内容は関連分野の発展に寄与する可能性が高いと判断される。実際のハードウエアを用いたフィールド試験により、MIMOチャネルを測定し、各種伝搬モデルの確立まで至ることを期待したい。