テレコム社会科学賞

表彰者コメント

※受賞者の所属は当論文賞受賞時のものです。

栗山 敏 氏(武蔵大学総合研究所 奨励研究員)

テレコム社会科学賞 奨励賞「情報システムを成功に導く経営者の支援行動」

■受賞者コメント

此度は第29回テレコム社会科学賞・奨励賞という大変名誉ある賞を受賞することができ、大変光栄に存じております。拙著の執筆に多大なご指導をいただきました元・武蔵大学教授の松島桂樹先生、宮城大学教授の藤原正樹先生ほか、多くの先生方に深く御礼申し上げます。また本賞の審査員の先生方、電気通信普及財団関係の皆様に深謝致します。

拙著は私の日本IBMでの勤務経験に根差す、情報システム構築プロジェクトのトラブルをいかにしたら防止できるのかという問題意識に基づいています。それをプロジェクトマネジメントやPMBOKといったプロジェクトの内部に限定するのではなく、プロジェクトを取り巻く外部環境、とりわけステークホルダーの支援行動の必要性と有効性を経営学の分野から考察したものです。特にその中で最大の影響力を持つ経営者の支援行動のあり方が研究テーマであり、現在も拙著で今後の課題に掲げたテーマについての考察を重ねております。

その後私は北海道情報大学 経営情報学部・先端経営学科の准教授として採用され、2014年4月に着任致しました。その採用に際してもこの単著出版物があったことが大きく寄与しましたし、加えてその書物がこのような名誉な賞に輝いたということによって、この著書の市場価値が大きく上昇したことは間違いありません。このような後日談も踏まえ、改めて関係各位に深く御礼申し上げたく存じます。本当に有難うございました。

榎並 利博 氏((株)富士通総研 経済研究所 主席研究員)

テレコム社会科学賞 奨励賞「電子行政における外字問題の解決に向けて―人間とコンピュータの関係から外字問題を考える―」

■受賞者コメント

このたびは、第29回(2013年度)「テレコム社会科学賞 奨励賞」という大変名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございます。審査員の先生方および電気通信普及財団関係者の皆様方に、あらためて御礼申し上げます。 外字という研究テーマは、30年以上も前に私が自治体担当SEとして初めてぶつかった問題であり、それ以来の懸念事項でした。当時はようやく汎用コンピュータが漢字を扱えるようになり、自治体の住民基本台帳がデータベース化された時代であり、文字セットに収容されていない漢字については、各自治体が独自にフォントを作成して対応していました。この外字は辞書に掲載されていないだけでなく、明らかに誤字と思われる漢字まで含まれ、大きな違和感を覚えた記憶があります。

近年、政府の調査研究で外字問題解決の方向性が示されましたが、6万以上の漢字を扱うという案は、現場で外字を扱っている自治体職員の声を反映させたものとは思えません。研究レポートで明らかにしたように、人間にとって6万以上の漢字を識別すること自体が困難なのです。点が一つあるかないかで住民からクレームをつけられる自治体の現場からは、早く外字を廃止してほしいという悲痛な叫びが聞こえてきます。

今回賞をいただいたことで、あらためて情報技術と法制度という視点で社会を眺め、情報技術を扱う現場からの声を大切にし、情報技術で豊かな社会を実現するための法制度のあり方を提案していきたいと考えている次第です。末筆ながら、貴財団の益々のご発展とご繁栄を心より折念申しあげます。