テレコム社会科学賞

表彰者コメント

※受賞者の所属は当論文賞受賞時のものです。

依田 祐一 氏(流通科学大学 流通科学研究所 客員研究員/神戸大学大学院 経営学研究科 研究員)

テレコム社会科学賞 入賞「企業変革における情報システムのマネジメント—ISのフレキシビリティと戦略的拡張性—」

■受賞者コメント

依田 祐一

このたびは、名誉あるテレコム社会科学賞をいただきましたこと、心より光栄に存じます。電気通信普及財団の皆様、審査いただいた先生方にあらためて深く御礼申し上げます。

今回の本書の受賞は、周囲の多大なご指導、ご支援あってのものです。著書に係る研究事例としてお世話になりましたセーレン株式会社、パナソニック株式会社、株式会社良品計画の3社の企業関係の皆様、神戸大学大学院及び流通科学大学の指導教員の先生方及び諸先輩方、研究活動に寛大なご理解をいただいた勤務先(株式会社情報流通総合研究所、株式会社NTTドコモ)の皆様、諸研究会・学会(神戸大学MBAのIT関係者のN&A研究会、経営情報学会「次世代システム研究会」、情報システム学会「産業界からの論文発表を促進するための研究会」)の皆様、碩学舎・中央経済社の皆様など、本書に関して、ご指導及びご支援をいただきました関係の皆様に、改めてこの場を借りて感謝申し上げます。

本書では、ここちょうど20年来において理論的にも実践的にも主流となってきた企業情報システムのITアウトソーシング論に対して、戦略的なインソーシングの有効性を主張しております。具体的には、日本を代表する株式会社良品計画の松井改革(2001年~)、セーレン株式会社の川田改革)、松下電器産業株式会社の中村改革のIT主導のV字回復の3社の比較事例を通じて、企業変革の面から捉えた場合、戦略的にインソーシングするITマネジメントの有効性が主張されるとともに、その理論的根拠としての「ISのフレキシビリティと戦略的拡張性」という新たな概念と理論仮説を提示しております。そして、情報システム子会社化やITアウトソーシングによってとって代わられつつある、企業のIT部門の存在意義、存在価値に改めて注目しています。企業変革には、重要な経営資源である点を主張しております。

今後ですが、今回の受賞を励みに、理論と実践を架橋する経営学に貢献できるように、そして何よりも企業経営の一助となるように、電気通信に係る事業に普及できるように、本研究をさらに深耕し、拡張していくことが、皆様の多大なご支援、今回の受賞のご期待に応えていくことと考えています。このたびの受賞を今後の研究活動の励みとし、より一層精進していく所存です。

末筆ながら、貴財団の益々のご発展とご繁栄を心より祈念申し上げます。