テレコムシステム技術賞

表彰者コメント

※受賞者の所属は当論文賞受賞時のものです。

棚橋 誠 氏((株)東芝 研究開発センター ワイヤレスシステムラボラトリー 研究主務)

テレコムシステム技術賞 入賞「Uncertainty of Out-of-Band Distortion Measurement With a Spectrum Analyzer」

■受賞者コメント

棚橋 誠

このたびは「第32回テレコムシステム技術賞」という栄えある賞を賜りまして、大変光栄に存じます。審査員の先生方および電気通信普及財団の皆様に深く御礼申し上げます。

今回の受賞論文は、通信システムにおける歪みの測定法という地味なテーマではありますが、実際の開発現場で起きている問題を理論的に解析した研究であり、研究者から実務者まで幅広い層に有益な内容に仕上げることができたと思っております。また本研究の背景には、電力増幅器における歪みと効率のトレードオフという、無線通信における長年の課題があります。私達のチームではこの課題に対して継続的な研究開発に取り組むことで、通信システムのエコロジー化を進めております。  さらに今後は、通信分野のみにとどまらず、分野横断的に世の中の役に立つ研究を進めていく所存です。最後になりましたが、貴財団の益々のご発展をお祈り申し上げます。

鎌村 星平 氏(日本電信電話株式会社 NTTネットワークサービスシステム研究所 研究主任)

テレコムシステム技術賞 入賞「Multi-staged Network Restoration from Massive Failures considering Transition Risks」

■受賞者コメント

鎌村 星平

このたびは「第32回テレコムシステム技術賞」という栄えある賞を賜りまして、大変光栄に存じます。電気通信普及財団の皆様、審査頂いた先生方に厚く御礼申し上げます。

今回の受賞対象の論文は、東日本大震災級の大規模災害が発生した際に、ライフラインである通信インフラを迅速に復旧するシステム技術に関する内容です。冗長系への切替やトラヒック迂回制御等の従来技術では対応できない大規模かつ面的な災害が発生した際に、損壊した通信インフラをどのように復旧すると通信網の疎通をリスク無く早期に回復可能か、という問題を数学的にモデル化しました。さらに技術の実用化を見据えて、数百台の大容量通信機器から構成される全国規模の通信インフラを対象とした大規模な最適化演算を現実的な時間で解く解法を提案しております。

今回の受賞を励みに、電気通信技術の発展と安心安全な社会基盤の実現に貢献すべく、一層の努力を尽くして参りたいと存じます。最後になりますが、貴財団の益々のご発展をご祈念申し上げます。

高井 勇 氏((株)豊田中央研究所 システム・エレクトロニクス1部 研究員)

テレコムシステム技術賞 入賞「Optical Vehicle-to-Vehicle Communication System Using LED Transmitter and Camera Receiver」

■受賞者コメント

高井 勇

このたびは「第32回テレコムシステム技術賞」という栄えある賞を賜りまして、大変光栄に存じます。電気通信普及財団の皆様、審査頂いた先生方に心より御礼申し上げます。また、本研究を遂行するにあたりご支援くださった皆様にあらためて感謝申し上げます。

今回の受賞論文では、LEDを送信機、カメラを受信機とする光無線通信技術を用いた新しいコンセプトの車両間通信システム“光車車間通信システム”を提案しました。この研究は、車両間で10Mbpsの高速な情報伝送を実現するため、カメラ受信機に搭載するイメージセンサを新規に試作するところから始まりました。そして、そのイメージセンサを用いたカメラ受信機とLED送信機を車両に搭載して実道実験を実施し、画像などの様々なデータを車両間で伝送することに世界で初めて成功しました。LEDとカメラは今後もますます道路インフラを含む自動車分野での普及が見込まれ、本技術の導入障壁が下がっていくものと期待されます。本論文の成果が、僅かでも当該分野における今後の技術進展を支える一助となれば幸いです。

今回の受賞を励みに、自動車の更なる安全・快適の実現に向け、一研究者として今後もより一層努力していく所存です。 最後になりますが、電気通信普及財団様のますますのご発展とご繁栄を心よりお祈り申し上げます。

間根山 佳知 氏(東京ガス株式会社 電力事業計画部 電力取引グループ)

テレコムシステム技術賞 奨励賞「QoS-Aware Cyclic Sleep Control With Proportional-Derivative Controllers for Energy-Efficient PON Systems」

■受賞者コメント

間根山 佳知

このたびは、「第32回テレコムシステム技術賞」という栄えある賞を頂きまして、誠に光栄に存じます。審査委員の皆様、また電気通信普及財団の関係者の皆様には心より御礼を申し上げます。

今回の受賞論文は光ネットワークにおける光回線終端装置(ONU:Optical Network Unit)と呼ばれる光-電気信号変換装置の消費電力削減に寄与する内容となっております。装置自体をオンオフすることで消費電力は削減されますが、それに伴いデータ通信に遅延が発生し、その遅延がサービス品質の低下に繋がります。本論文では制御理論を用い、その遅延時間を一定に制御することでサービス品質を一定に保ちつつ、省電力化を図る手法を提案しております。

今回、受賞させていただいたことを励みに、今後もより一層精進して参りたいと存じます。最後になりましたが、貴財団の益々のご発展を心よりご祈念申し上げます。