テレコムシステム技術学生賞

表彰者コメント

※受賞者の所属は当論文賞受賞時のものです。

﨑山 亮恵 氏(東京農工大学 大学院生物システム応用科学府 生物機能システム科学専攻 博士後期課程1年)

テレコムシステム技術学生賞 最優秀賞「Oversampled Graph Laplacian Matrix for Graph Filter Banks」

■受賞者コメント

﨑山 亮恵

この度は「テレコムシステム技術学生賞 最優秀賞」という名誉ある賞をいただき、誠に光栄に存じます。審査員の先生方および電気通信普及財団の皆様に深く御礼申し上げます。

大規模かつ複雑な構造を持ったネットワーク上のデータの周波数解析を一つの大きな目的とした,グラフ信号処理の研究が近年急速に発展しています。受賞論文は、複雑ネットワーク上の信号(グラフ信号)を効果的に解析するための信号処理理論の提案です。従来手法では周波数解析が可能なネットワーク(グラフ)の構造に強い制限がありました。本論文では、グラフをその構造を考慮に入れて拡大することで、あらゆるネットワーク上の信号に対し周波数解析が可能とする手法を提案しました。

今回の受賞を励みに、情報通信技術の発展に貢献できるよう、一層の精進を重ねて参る所存でございます。末筆ながら、貴財団の益々のご繁栄を心よりお祈り申し上げます。

大屋 優 氏(早稲田大学 大学院基幹理工学研究科 修士課程2年)

テレコムシステム技術学生賞 入賞「A Hardware-Trojans Identifying Method Based on Trojan Net Scoring at Gate-Level Netlists」

■受賞者コメント

大屋 優

このたびは「第31回電気通信普及財団賞テレコムシステム技術学生賞」という栄えあ る賞を賜り、大変光栄に存じます。電気通信普及財団の皆様、審査頂いた先生方に、 心より御礼申し上げます。

今回の受賞論文は、ハードウェアトロイ(HT)と呼ばれる悪意のある回路の検出を対象としています。研究の背景として、近年チップの製造コスト削減のため、第三者にチップの設計・製造を委託しております。これにより、チップの製造工程が自社内で完結しなくなり、チップの安全性を保証することが困難になってきています。

そこで本論文では、HTの特徴について研究してHTを検出する手法を開発しました。開発手法の大きな貢献は、与えられたファイルから得られる情報のみで、HTが含まれているか否かを識別することに世界で初めて成功したことです。

今回の受賞を励みに、電気通信技術の発展に貢献すべく、微力ではございますが、一層の努力を尽くして参りたいと存じます。最後になりますが、貴財団の益々のご発展をご祈念申し上げます。

JEONG Kwangjin 氏(慶應義塾大学 大学院総合デザイン工学専攻 修士課程1年)

テレコムシステム技術学生賞 入賞「Can Critical-point Paths under Lp-regularization(0<p<1)Reach the Sparsest Least Squares Solutions?」

■受賞者コメント

JEONG Kwangjin

この度は「第31回電気通信普及財団テレコムシステム技術学生賞」を戴き、非常に光栄に思います。審査委員の皆様や電気通信普及財団の皆様、そして本研究および本論文の執筆にあたり沢山のご指導を頂いた湯川正裕先生(慶應義塾大学准教授)と甘利俊一先生(理化学研究所脳科学総合 センター特別顧問)に大変感謝いたします。

本論文は非凸関数による正則化を用いてスパース最適化問題を解決する際に、全てのスパース解を得ることができることを理論的に示しています。凸最適化の手法を用いずスパース最適化問題を解決するための重要な情報であると考えております。

今回の受賞をきっかけにして、今後も一所懸命研究に臨んで行きたいと思います。電気通信普及財団のご発展を心より祈っております。ありがとうございました。

北村 大地 氏(総合研究大学院大学 複合科学研究科 情報学専攻 博士後期課程2年)

テレコムシステム技術学生賞 入賞「Multichannel Signal Separation Combining Directional Clustering and Nonnegative Matrix Factorization with Spectrogram Restoration」

■受賞者コメント

北村 大地

この度は、「第31回テレコムシステム技術学生賞」という栄えある賞を頂きまして、大変光栄に存じます。審査をして頂いた先生方、電気通信普及財団の関係者の皆様に厚く御礼を申し上げます。また、本論文の執筆に際しまして、日頃より熱心なご指導をしてくださった東京大学の猿渡洋教授、奈良先端大の中村哲教授、NTTの亀岡弘和様、ヤマハ株式会社の高橋祐様及び近藤多伸様に深く感謝申し上げます。

受賞の論文は、ステレオ録音された音楽信号からボーカルやギター等、特定の音源のみを分離・抽出する技術に関する内容となっております。近年特に盛んに研究されている数理的アルゴリズムの非負値行列因子分解と、従来の空間的な音源分離手法である方位クラスタリングを組み合わせたハイブリッド音源分離手法であり、これまでのステレオ音源分離手法よりも高精度かつ高品質な分離が可能であることを示しております。一般的に音源分離は、音声信号と背景雑音の分離について積極的に取り組まれておりますが、音楽信号を対象とした場合には、芸術としての価値を損なわない、より高品質な分離が求められており、本論文の手法はそのような実用に耐える品質を実現した手法となっております。

今回の受賞を励みにして、今後も精進していく所存であります。最後になりますが、電気通信普及財団の益々のご発展とご繁栄をお祈り申し上げます。